【特別展 LOVE いとおしい…っ! ―鏑木清方の恋もよう、奥村土牛のどうぶつ愛―】
鑑賞メモ。
山種美術館の所蔵品を中心に、恋愛や家族愛、身近な動物への慈しみの愛や郷土愛など、広範囲な”LOVE”にまつわる近現代の日本絵画を展示。
チラシのメインアートは福富太郎コレクション(「昭和のキャバレー王」と呼ばれた実業家 福富太郎(本名、中村勇志智 1931~2018)が蒐集した美術品群)より鏑木清方の「薄雪」(1917(大正6)年)。近松門左衛門の心中もの『冥途の飛脚』の一場面です。とても美しくはかない感じに描かれています。
同じ心中ものでも、こちら↑はなんだかドロッとしています。やはりお題は近松門左衛門で『心中天網島』。既に死のにおいがします。
展示序盤にあった小さな作品が目を引きました。速水御舟「桃花」(1923(大正12)年)です。画家の長女の初節句のために描かれたもの。中国の絵画様式「折枝画(せっしが)」(花木の枝先をクローズアップして小画面に描く中国伝統の花鳥画における古典的様式)にならい、つぼみがそっと開き始めた桃の枝先が描かれています。娘へのLOVEがこめられたやさしい絵画です。
ところで、本展でたった一つ撮影の許されていた作品が、こちら。狂える愛の物語より。8枚の連作のうちの1枚です。
道成寺に伝わる安珍清姫伝説(ストーカー女が大蛇に変身して自分を拒否する愛しい男を焼き殺すというお話)の一場面。清姫が片思いの相手 安珍を追って疾風のごとく山を越える様子です。すでに人間じゃない感じが出てきていますね。
人間への愛もいいけど、私が気になるのは動物画です。なかでも竹内栖鳳が好き。山種美術館では「斑猫」がおなじみですが、今回は「みゝづく」(1933(昭和8)年頃)と「鴨雛」(1937(昭和12)年頃)が展示されていました。なんというか、はらはらっとした筆遣いで、シンプルながらもリアルな描写が見事だなあと思うのです。
あと、小林古径の猫もよかったです。
凛々しくお座りした猫の姿はエジプトのバステト神に取材したと思われます。添えられた桔梗もおしゃれ。
近寄って見ると意外とほっぺにモチモチ感のある愛らしいお顔でしたよ。
かなり無理矢理感が否めないテーマと内容ではありましたが、久しぶりに多彩な日本絵画を堪能できました。
残念ながら日本美術の展覧会は撮影不可なことが多くて…。展示作品のいくつかは山種美術館のSNSで見られます。(一部「文化遺産オンライン」へのリンク貼っときました。)
#LOVEいとおしい展 で展示中!
— 山種美術館 (@yamatanemuseum) January 11, 2026
かわいい動物たち♡
川合玉堂《猫》(#山種美術館)には、玉堂が飼っていたとみられる猫が描かれています🐈
展示室には玉堂が猫を抱いている写真も展示中!
ぜひ見にいらしてくださいね。 pic.twitter.com/WZsEOBWO4e
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展覧会情報
会期:2025年12月6日(土)~2026年2月15日(日)
会場:山種美術館
主催:山種美術館、朝日新聞社