2019-12-22

リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展

 Bunkamuraザ・ミュージアムで開催された【建国300年 ヨーロッパの宝石箱 リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展】のメモです。

世界で唯一、侯爵家(君主)の家名が国名となっているリヒテンシュタイン。その侯爵家の14世紀に端を発する個人コレクションの展覧会。



メインアートは華麗な花の静物画。

フェルディナント・ゲオルグ・ヴァルトミュラー「磁器の花瓶の花、燭台、銀器」(1839年)


ヨーゼフ・イノゲバウアー「リヒテンシュタイン候フランツ1世、8歳の肖像」(1861年)


ヨハン・ゲオルク・プラッツァー「雅な宴」(1736年)

冒頭の花の絵なんか見るとリアルにこんな生活してそうな気が。



ルートヴィヒ・デ・ウィッテ・「馬丁と黒斑の馬」(18世紀前半)

馬専門の画家による作品。リヒテンシュタイン家は良質な馬の繁殖と飼育に注力、皇帝家にも納めていました。ところで右奥の噴水、イルカの鼻の穴から水出てるね。


私の好きなルーカス・クラーナハ(父)が数枚展示。

ルーカス・クラーナハ(父)「イサクの犠牲」(1531年)

丘の上で息子イサクを神に捧げようとするアブラハムに天使が待て待てと止めに入っています。手前に描かれているのは麓で待機する同行した二人の従者とロバ。ことの詳しいことは知らない様子です。信仰心を試す話は、ちょっと、嫌だわ…。


ルーカス・クラーナハ(父)「聖バルバラ」(1520年以降)

聖バルバラの絵には塔や聖杯、本が一緒に描かれるのでそれを手掛かりに見分けることができますが、これは光輪に名前が書いてありますね。親切。


ペーテル・パウル・ルーベンスと工房「ペルセウスとアンドロメダ」(1622年以降)

ルーベンスらしい、と感じる一枚。怪物のいけにえにならんとしているアンドロメダを救うペルセウス。彼は事前にアンドロメダの親に彼女を救出する代わりに妻にくれと約束していました。

下心でニヤつくペルセウス。


絵画のほかには多くの磁器が展示。

ウィーン窯・帝国磁器製作所 原画:ペーテル・パウル・ルーベンス
「陶板「占いの結果を問うデキウス・ムス」」

当時流行した古代風の装飾が美しいこちらの陶板画は、デキウス・ムス連作の一枚。デキウス・ムスは共和政ローマの時代に実在した、あるいは伝説的な英雄とされる一族。ここに描かれているのは初代のプブリウス・デキウス・ムスと思われます。自己犠牲の儀式を行う前にいけにえの動物の内臓を調べて吉凶を占ってもらったところです。


ウィーン窯「カップと受け皿(トランブルーズ)」(1725年頃)

トランブルーズ(Trembleuse)はホットチョコレートをこぼさずに飲むためのカップとソーサーのセットです。でも…カップに完全に穴開いてない? 装飾品なのかな?


たしか2012年にもリヒテンシュタイン展を観に行ったような気がするんですが、リヒテンシュタイン家にはまだまだお宝がうなっているようです。

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展覧会情報

会場:Bunkamuraザ・ミュージアム
会期:2019年10月12日(土)~12月23日(月)

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この記事は当時公開していなかった記事を改稿し、2025年に公開しました。

2019-12-06

コートールド美術館展 魅惑の印象派

 東京都美術館で開催された【コートールド美術館展 魅惑の印象派】のメモです。

英国ロンドンのコートールド美術館における印象派~ポスト印象派のコレクション展。


コートールド美術館は、特に印象派とポスト印象派の作品コレクションで知られています。レーヨン産業で成功を収めた実業家サミュエル・コートールド(1876-1947)は、当時イギリスであまり評価されていなかったこれらの作品の魅力を母国に伝えたいと熱心に収集。ロンドン大学に美術研究所の設立が決まると、彼は自身のコレクションを寄贈。これにより「コートールド美術研究所」が誕生し、その展示施設としてコートールド美術館が開館しました(1932年)。


看板作品はもちろんこれです。

エドゥアール・マネ「フォリー・ベルジェールのバー」(1882年)

フォリー・ベルジェール(パリのミュージック・ホール)のバーメイドを描いた作品。マネが亡くなる前年にサロンに発表されたもの。よくよく見れば腕が長すぎるけれど、傑作。


コートールド夫妻が最初に購入した絵画のうちの1枚は、ルノワール。

ピエール=オーギュスト・ルノワール「靴紐を結ぶ女」(1918年頃)



コートールドが最も多くの作品を購入した作家はセザンヌ。なんでも「魔術を感じた」んだとか。

ポール・セザンヌ「カード遊びをする人々」(1892-1896年頃)

セザンヌの「カード遊び」の絵は5点あり、うち2人で遊んでるバージョンは3点。


ポール・セザンヌ「キューピッドの石膏像のある静物」(1894年頃)

最初に買ったセザンヌ作品がこれ↑。これは確かに魔術的よ…。めまいするよね。デ・キリコにこんな絵ありませんでした?


エドガー・ドガ「舞台上の二人の踊り子」(1874年)

ドガの代名詞ともいえる踊り子の絵も所蔵。


ポスト印象派の最初の購入品は、ゴーガンの油彩画。

ポール・ゴーガン「干し草」(1889年)


こちらはスーラが独自に編み出した点描画法を画面全体に用いた最初の作品といわれているもの。

ジョルジュ・スーラ「クールブヴォワの橋」(1886-87年頃)


アンリ・ルソー「税関」(1890年頃)

これは↑印象派ではないんですが(描いている本人的にはアカデミックな写実絵画)、同時代ということで。


ピエール・ボナール「室内の若い女」(1906年頃)
 Image courtesy The Courtauld.

モデルは結婚前のマルト。珍しく風呂入ってないです。



エコール・ド・パリの画家もしっかりと。

アメデオ・モディリアーニ「裸婦」(1916年頃)

モディリアーニらしい裸婦や…


シャイム・スーティン「白いブラウスを着た若い女」(1923)

スーティンも。この画家は素描や習作を用意しない人だったんだって。


こんな感じで、近代フランス絵画の要所々々を押えた充実したコレクションなのでした。

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展覧会情報

会場:東京都美術館
会期:2019年9月10日(火)~12月15日(日)

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この記事は当時公開していなかった記事を改稿し、2025年に公開しました。