「梶コレクション展―色彩の宝石、エマーユの美」を観ました。2024年にジュエリーアーティストの梶光夫氏より国立西洋美術館に寄贈された工芸コレクションの展覧会です。
このコレクションは、ほぼすべてが「エマーユ」の作品です。emaux(エマーユ・仏語)は英語だとenamel(エナメル)、日本では七宝(しっぽう)と呼ばれるものとほぼ同じ。金属などの表面にガラス質の釉薬を焼き付けたものです。琺瑯(ほうろう)も仲間です。
12世紀にはフランスのリモージュが”エマーユの町”として全ヨーロッパで知られていましたが、14世紀以降エマーユ産業は衰退。15世紀末に「エマーユ絵画」という新たな技法とともに復活。しかし17世紀半ばに再び衰退。次の復活の舞台は19世紀後半のパリでした。梶コレクションはそんな2度目の復活後の19世紀末から20世紀初頭の作品を中心に集められています。
エマーユは飾り棚にあしらわれたり…
「エマーユの飾り棚」(1890年頃)
「エマーユの飾り棚」上部のエマーユ
2×3cmぐらい?の小さなピルケースにつけられたり…
「聖女ファビオラのピルケース」(19世紀後半)
シャルル・ペルタン「《グランド・オダリスク》に基づくエマーユ絵画」(20世紀初頭)
「愛らしい乙女のブローチ」(20世紀初頭)
…といったふうに、様々な姿で輝いています。
L.マルシャン「アイリスと女性」(1900年)
豊かな色彩となめらかな曲線が表現できるということもあり、アールヌーヴォーのスタイルとエマーユはとても相性が良いのですね。19世紀の再復興にはそんな理由があるのかもしれません。
展示の中で目を引いたのはたくさんの極小のエマーユ。1円玉に満たないぐらいの大きさのエマーユがずらりと並んでいました。
「女性像とバスタイユの背景」(19世紀後半)
「花のゴールドエマーユ」(制作年代不詳)
通常、エマーユの素地の金属には銅が用いられますが、金が使われているものをゴールドエマーユと呼びます。またこれは、細い金属の線で輪郭が形作られ、その枠内にエナメル釉を置いて焼成するクロワゾネという技法が使われています。七宝でいうところの有線七宝ですね。
コレクターの梶氏自らデザインしたエマーユジュエリーも展示。
デザイン:梶光夫「ゴールドエマーユペンダント」(エマーユは19世紀後半)
小さな展示室ではありますが、細やかでゴージャスなエマーユの美を堪能しました。
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展覧会情報
会期 2025年3月11日[火]-6月15日[日]
会場 国立西洋美術館 版画素描展示室(常設展示室内)
主催 国立西洋美術館
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